緩和ケア病棟ってどんなところ?【体験談】母を緩和ケア病棟で看取りました

緩和ケア病棟ってどんなところ?日常生活

今年のはじめ、実母が他界しました。最期は本人の希望で緩和ケア病棟に入院したのですが、驚くことがいろいろあって。

医療や介護関係の仕事をされている方にとっては当たり前のことだと思いますが、「えっ⁉知らなかった~」ということがたくさんあったんです。

普通の人はきっと知らないであろう「緩和ケア病棟」について、体験談をまとめました。

緩和ケアとは
痛みや苦痛となる症状を緩和するケア。自然な流れの中での死を尊重する。
この記事はあくまで体験談です。緩和ケア病棟を推奨するものではありません。

入院前に面談がある

緩和ケア病棟とは、緩和ケアを行う専門病棟です。病気を治す治療はせず、痛みを取ったり、生活の質を向上させるための支援を行ったりします。

治すのではなく、痛みをやわらげて自然に死を迎えられるようにサポートするんだよ。

緩和ケア病棟に入院を希望する場合、入院前に必ず面談があります。面談では医師から次のようなことが説明されました。

  • 緩和ケア病棟とはどんな場所か
  • 緩和ケア病棟でのルール
  • 緩和ケア病棟に移る際の注意点
  • 緩和ケア病棟に入院する以外の選択肢

詳しくは後述しますが、一度緩和ケア病棟に入ると、延命のための治療や転院が不可能となります。「やっぱり医療の力でもう少し長く生きたい。」と後悔しても、遅いんです。

緩和ケア病棟に入院後、どうしても治療をしたい場合は対応してくれる医師を探すが、まず見つからないと思った方が良いと言われました。

医師に「本当に緩和ケア病棟で良いのか、しっかりと話し合うように。」と何度も念を押されたことを覚えています。

なお、面談は入院する本人が出席することも可能です。我が家の場合は、母の容体がおもわしくなかったため私と弟が2人で出席しましたが、次に順番を待っている方はご本人のようでした。

ちなみに、緩和ケア病棟の雰囲気は、病院というよりホテルに近い感じです。病院特有の薬っぽいにおいもなく、大きな窓からは外が見渡せます。歓談室に本があったり、大きな水槽で魚が元気に泳いでいたり、ピアノもありました。

病室は全て個室ですが、一部の部屋を除いて追加料金はなし。保険の範囲で対応できるとのことでした。

緩和ケア病棟から一般病棟に移ることはできない

普通の病院は病気を治すところです。しかし、緩和ケア病棟に入ったら手術や投薬はせず、病気の進行は自然に任せます。つまり、緩和ケア病棟に入院するということは、治療をしない選択をするということです。

そのため、一度緩和ケア病棟に入院した後、普通の病院に転院することはまず不可能。面談でも「もし少しでも長く生きることを目的とするなら、緩和ケア病棟はおすすめしない。」と言われました。

母の場合、緩和ケア病棟以外にも2つの選択肢がありました。

  1. 自宅で介護する
  2. 介護施設に入る

母は弟と2人暮らし。弟は仕事があるし、私は遠くに住んでいます。しかも、自宅で介護する場合、母のいる部屋は火気厳禁!酸素ボンベに引火する可能性があるため、ストーブは使えないのだそうです。

あの寒い部屋で、ストーブなしは厳しい‥‥‥。

介護施設の場合、24時間誰かが母の近くにいます。設備の整った暖かい部屋で過ごせ、何かあってもすぐに対応してくれる。容体が悪化すれば、病院に連れて行ってもらえます。

医師からも「自宅での介護が難しく、本人が治療を希望するなら介護施設を探すのが良いだろう。」と言われました。

病院によって緩和ケアの内容が異なる

さらに医師は続けます。「病院によって緩和ケアの基準が違うから、この病院以外の緩和ケア病棟を検討する方もいる。」

私は知らなかったのですが、緩和ケア病棟といっても、病院によって対応が異なるのだそうです。病院によっては退院しなければならないことがあったり、○○の治療だけはするといった基準があったり、さまざまなんだとか。

母がお世話になった病院は、本人の意思を尊重することを最も重視していました。

  • 酸素マスクや痛みの緩和は、本人が希望すれば行う
  • 痛み止め以外の投薬や治療はしない
  • 危険がない限り、本人がやりたいことをやってOK(危険な場合は、危険であることは伝える・代替案を提案することはある・でも決めるのは本人)
  • 入退院は自由にできる(手続きは必要)
  • 本人が望まない限り、病院側から退院させることはしない(ベットを開けるために退院させることはしない)

つまり、痛くても自分で「痛みをなんとかしたい」という意思表示をしなければ、痛み止めすらもらえないということ。やってほしい・察してほしいという姿勢では、快適に過ごせない場所で、そこにいたい人だけが過ごす場所だということです。

人によっては「それって、何もしないってことじゃない?」と感じると思います。でも、母の性格にはぴったりで。

面談してくれた医師は、事前に母に会いに行ってくれました。その際「この先、どんな風に過ごしたいですか?」と聞いたところ、母は「(自分のことは)自分でやりたい。」と言ったそうです。

母は自分の希望をはっきり言わない人だったので、驚きました。でも、なんとなくわかるような気がしました。実際、亡くなる直前までトイレは自力で行ってましたしね。

担当してくれた医師には、とても感謝しています。わざわざ別の病院まで足を運んでくれたこと、母と話をしてくれたこと、お忙しい中ありがとうございました。

緩和ケア病棟では面会の基準が厳しくない

このところ、病院の面会の基準が厳しくないですか?緩和ケア病棟に転院する前は、それはそれは細かくルールが決められていました。(2024年1月現在)

  • 面会できるのは15~17時
  • 面会時間は20分
  • 1日に面会できるのは1家族1~2名
  • 中学生以下は面会不可

私は当時4歳の息子を連れていくことができず、ほとほと困りました。面会するときだけ誰かに見ててもらえばいいのでは?という意見もありますが、「ママが行くならぼくも行く!」ってなっちゃうんですよね。

しかも、神奈川から群馬まで行って、20分しか会えないなんて‥‥‥。仕方のないこととはいえ、なんとかならないのかな~なんて思っていました。

しかし、緩和ケア病棟は違った!

面会できる時間は14~16時でしたが、何分いてもかまわない。人数や年齢の制限はなく、自由に出入りできました。(注:現在は変更になっている可能性があります。)

息子と一緒に面会に行くことができ、母も私も大喜び!息子も面会に行くたびに「おばあちゃん、来たよ~」とニコニコ笑顔でした。

緩和ケア病棟でよかった

面談後、母に医師から聞いた情報を全て伝え「どうしたい?」と聞いてみました。母は「緩和ケア病棟がいい。」と即答。すぐにソーシャルワーカーに連絡し、手続きが進められました。

母は転院して10日で旅立ってしまったのですが、緩和ケア病棟で過ごすことができて本当によかったです。すべてが母の望む形ではなかったけれど、自分の最期に満足していたと思います。

母は酸素マスクが嫌いだったようで、転院してすぐに外してしまいました。ちょうど年末年始の休みもあったので、いとこ家族も会いに来てくれて、病室でワイワイ過ごしました。子どもが大好きで、「誰かの声が聞こえていないとイヤだ」と言っていた母。喜んでくれていたと思います。

緩和ケア病棟は、「これ以上の治療は望まない」「自然な形で死を迎えたい」と考える方にとっては、過ごしやすい場所です。最期まで自分の意志を重視したいなら、選択肢として頭の片隅に入れておくのも良いのではないでしょうか。

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